短歌誌「国民文学」今月号

 

月刊の歌誌です。会員たちが詠んだ短歌の作品、批評、先人達の作品鑑賞、コラムなどを掲載しています。その他各地の歌会情報や全国大会のお『知らせなどの情報も。

 活字になった自分の作品、仲間達の作品を鑑賞しながら上達のポイントを発見し歌を詠むことnの楽しさを学びます。

2024年4月号

 

作品Ⅰ                                       

作品Ⅱ

作品Ⅲ                                       

作品Ⅳ                                       

 

松村英一の歌(四二三)                              斎藤冷子

千代國一の歌(一〇五)                            佐藤和代

 

選歌余談                                  松村英一 

語彙                                    半田良平

 歌壇管見                                  吉田直久

 

「年刊歌集評」一首抄         古屋清・鳥海三枝子・仁尾岳士・並木梢・宗像正江

令和六年「能登半島地震」の地より                      永井正子

 

名古屋支部新年歌会報告                          浅野由美子

 

 昭和覚え書き(二八)                            御供平佶

 

百周年拾遺 こぼれ話 (その四七)                     川口城司

 

ことばにまつわるあれやこれや(Ⅳ)                     齋藤隆彦

  

歌の師・歌の友(55)                           中野たみ子

 

 

本と私                                  白田妙一

 

卓上語                          古屋清・池田和臣・平谷郁代

 

作品批評                 白田妙一・山田みよこ・鳥海三枝子・口野潤子

                     金子愛子・佐藤和代・高熊若枝・伊藤恵子

令和七年歌会始のお題及び詠進歌の詠進要領

 

 

   「国民文学賞」作品募集

 

   転載歌

 

   第六十三回 国民文学全国大会神奈川大会案内

   

    歌会報・歌会一覧・国民文学年間予定表

 

   編集室だより・後記

 

                             表紙画 池田信一 カット 石田 叶

 


松村英一の歌(四二三)

木の種子(たね)を遠く持て来て生(な)しませるこの紀の国に鎮(しず)まらす神   『露原』

幾種類か庭より消えし山草を如何になるかと思ふことなし

わが心うごかずならばそれもよしよしよしとして老を楽しまむ      『石に咲く花』

翁ぐさ冬こゆる芽の銀毛にかがみてゐしがそれだけのこと

いつしかに縁あるごとく一隅にたまりてゐたり冬の落葉は          『雲の座』

よるべなきこころ守りて雲を追ふ雲くれなゐに夕しづむ空      『落葉の中を行く』

原生林熱気のこもる中を来て水のとどろく谿は見がたし       『白い花の咲く道』

 

 

(抄出 斎藤冷子)

 

千代國一の歌(一〇五)

ひとり静白のかそけき花保ちふたり静の今し芽の萌ゆ           『冬の沙』

唐松の林を低くわたり来るかそかなる風水のにほひす           『天の暁』                       馬場みね子・吉濱みち子・小松敦子

そこはかと蘭花匂ひて更くる夜のはだへに感ず亡き師の息を

紅紅(あかあか)と一樹おごれる夾竹桃古代ローマの幻に咲く

唐橘(たちばな)の庭の紅実(あけみ)になぐさまむ冬日日のわれと小鳥と  『日曇』

刈り干して棚田の痩する穂のかたへ過(よび)りて思ふ農に光を       『花光』

人類の世紀は戦(いくさ)の歴史なりやそれは勝者の遺したるもの  『師の花吾が花』

 

                                 (抄出 佐藤和代)                            


今月の選者の二首 2024年4月号より

御供 平佶

姑の縁者九十歳の圧死せり穴水町の欄に一人目

甥の夫婦役場に勤め帰宅せず実家の様子不明二か月

永井 正子

傾ぎたる家を見に行く父に従く正月休みの子は今日までと

ひそひそと声を慎む避難所の夜を飛び交ふ寝言に鼾

吉田直久

冬の陽に枯葉一葉照らされてひととき永し朽ちゆくものの

逡巡と踏み切る思ひの重なりをパレットに遺す画家といふもの

佐伯雅司

参拝者迎ふる焚火は枝をのばす大き樟へと火の粉を上げぬ

退職をまた意識せり年末のボーナス支給の響きは良きも

 

 (抄 吉田直久)